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中国リアルタイムレポートREALTIME REPORT

中国ベーカリー調査レポート

近年中国では都市部の若者層を中心にライフスタイルの西洋化が急速に進んでいる。

その顕著な現象の一つとして、ベーカリーの急増が挙げられる。

元来中国には朝食や間食としてあまねく受け入れられている、安価で美味な軽食が数多く存在する。

しかしながらここ数年でベーカリーは続々と増え、その中で も外資系がしのぎを削っている。

今回は特に上海で人気を集めている外資系ベーカリー2店をピックアップしご紹介したい。

85℃

台湾を除く中国本土で約140店舗、上海だけでも70店舗以上展開するのが85℃だ。

上海に進出したのが2007年12月、その後2010年11月には台湾にて上場を達成し勢いに乗っている。

今回は住宅地中心部の店舗に訪れた。

 

昼時のためかレジには行列ができているのがまず目に入る。

店員の話によると、夕方6時前後になるとほとんどの商品が売 切れになるとのことで人気はかなり高い。

店内にはイートインコーナーもあり、「庶民のスターバックス」などと呼び名がつくことからもその定着度の高さがう かがえる。

 

写真は午後4時には売り切れるという人気商品、「蜃ッ撒大帝(シーザー大帝)」だ。

ハム、レタス、チーズなどが含まれているピザ風のパ ンで、これが6元(≒80円)で購入できる。

ちなみに前述の中華軽食は半額の3元(≒40円)程度の価格であることから、85℃の商品も比較的値ごろ感が ある。

店内の工房に目を向けると、マスクをかけ作業に取り組む店員が目に入った。

接客スタッフを含む全員が清潔感のあるユニフォームを身につけ、衛生面やクリンリネスにも気遣っていることが見て取れる。

 

この他サービス面への注力が垣間見えるシーンがあった。領収書をどこで発行してもらえば良いか困っている来客に、リーダーと思わしき店員が積極的に声をかけていたのである。

来店客を重視するしっかりとしたトレーニングの賜物であろうと深く感じ入った。

ヤマザキ

日本企業で中国に進出し人気を博しているのがヤマザキだ。

上海では好立地を中心に多店舗展開しているが今回はその内、オフィスも集中する繁華街の店舗に訪れた。

ここではホワイトカラー層を中心に、正午以降になるといつも近隣店舗の店員が羨むほどの行列ができている。

またヤマザキでもイートインコーナーが設けられており、ベーカリーカフェ業態として営業している。

 

数ある商品の内、最も人気が高いと店員が話すのが写真の「皇后土司(皇后トースト)」。

店内の工房で焼き上げられたこの商品は、程よく豊かな小麦の香りと モチモチした食感で来店客の嗜好を刺激している。

そしてバターの他砂糖もまぶして甘みを出している点が、プレーンな味よりも比較的はっきりした味を好む中国人客に受けているのかもしれない。

価格は12元(≒160円)と決して安くは無いが、全商品の価格帯は2~15元(≒25~200円)なので85℃と大差は無い。

この他サンドイッチ類も人気商品のようだ。

 

半オープンの工房内では85℃と同様、店員はやはりマスクをかけていた。

近年食の安全に対する意識が急速に高まっている中国。衛生面からの訴求は重要な要素であると言えよう。

日系企業らしいサービスが見えたのが包装である。

ヤマザキでは、パンごとにビニール袋で個装した上で手提げ付の紙袋に入れて提供する。

この嬉しい気遣いが中国人客にも喜ばれているようだ。

二店を訪れて

どちらも多くの中国人客を引き付けている人気店。

共通する要素として、中国人客の味覚に合わせた味、衛生面でのアピール、サービス面での他店との差別化が挙げられる。

特に商品の味に関しては、現地向けのカスタマイズが肝要な点である。

また両店ともデリバリーサービスを展開している。

これはデリバリーが広範で行われている中国の実情に基づいた、訴求力の高いサービスだ。

ベーカリー以外の飲食店でも日本企業は苦戦を強いている店舗が少なくないが、「郷に入らば郷に従え」の精神で中国に受け入れられている今回の二店は、良いベンチマークとなりえるだろう。

 

店舗調査レポート第一回はベーカリーにスポットを当てたが、今後幅を広げ多種多様な店舗の情報を皆様にお届けしたい。

今後中国進出を検討する方の参考となれば幸いだ。

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