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中国リアルタイムレポートREALTIME REPORT
中国ラーメン店レポート
もはや日本の国民食とも言えるラーメン。
その起源とされる「拉面」は、「面(小麦粉)」の生地を「拉(引っ張り伸ばす)」した中国料理である。
1食10元 (≒130円)前後で食べられる元祖「拉面」店は以前から町中至る所で見られていたが、近年になり「日式拉面(日本のラーメン)」などの、中国にとっては 言わば新感覚麺が完全に浸透し市民権を得ている。
今回はその中でも特に事業化に成功し、中国全土へと大々的な多他店舗展開を行っている日本系ラーメン店と台湾系麺店をご紹介したい。
味千ラーメン
味千ラーメンは言わずと知れた、中国で成功した日系外食店の代表格である。
1996年に香港進出した味千中国は2007年には香港で上場を遂げ、 地方都市を含む中国各地で、大型商業施設や空港内などの好立地に店舗を構えている。
その店舗数は既に450店を越えており、2010年に中国調理協会が発 表した「ファストフード50強企業」では、中国でケンタッキーフライドチキンやピザハットを抱える百勝集団、マクドナルド、後述のdicowsに続いて 堂々の4位にランクインしている。
今回は大型商業施設内の店舗を訪れた。
休日の昼時ということもあり、店外まで入店待ちの行列ができており活気で溢れている。
店員に「いらっしゃいませ」と日本語で声をかけられ入店すると、色鮮やかな浮世絵風に巡らされた内装が目に入る。
客席も100席近くあり、日本でイメージされる一般的なラーメン店と言うよりも、ファミリーレストランの感覚に近い。
ま ずメニューの豊富さに驚かされる。ラーメンだけでも20種類以上あるのだが、サイドメニューはそれ以上の約40種類も提供されている。
特筆すべきは、アイ スクリームやパフェなどのデザート類を、豊富に揃えている点である。
味千ラーメンはこのようにファミリーレストラン的ポジションを確保し、家族や友人と連 れ立って来店する顧客の獲得に成功している。
尚価格帯は、ラーメンは25元~30元(≒300円~370円)前後が多く、サイドメニューは20元 (≒250円)前後がほとんどで、他ファストフードやファミリーレストランと同額程度で、元祖「拉面」店と比較するとおよそ倍程度に相当する。
中 国では豚骨ラーメンが受け入れられているが、味千ラーメンでも一番人気は豚骨。
スープのレシピは中国法人にも明かされていないとのことで、日本の店舗と同 じ味で提供されている。
麺は日本人からするとコシが少なく感じるが、パスタも柔らかめを好む中国人に合わせてあると思われる。
麺の固さやメニュー構成をアレンジし、中国市場に対し柔軟に向き合っている事が強く感じ取れた。
康師傅私房牛肉麺
康師傅私房牛肉麺は台湾系企業の康師傅ホールディングが展開する麺店である。
2006年にテスト店を開店したのを皮切りに、現在では中国全土で約100店舗を有している。
康 師傅は元々インスタントラーメンや清涼飲料水をメインに成長した企業で、インスタントラーメンは中国トップシェア、飲料は2位につけている。
また康師傅の 親会社である頂新国際集団は前述の「ファストフード50強企業」で3位にランクインしたハンバーガーをメインとするチェーン店dicosを展開している 他、コンビニエンスストア・ファミリーマートを抱えており、こうした店舗運営や流通のノウハウを蓄積した上で満を持してオープンしたのが、康師傅私房牛肉 麺である。
洗練された内装。
これが入店時の第一印象である。
コンセプトに合わせ中国風の優雅なBGMを流している点も、他外食店にはなかなか見られない工夫だ。
凝っ た演出ながらメニューの価格帯は決して高くなく、麺類は20元~30元(≒250円~370円)前後に収まっている。
しかしながら一品だけ一頭の牛から4 つしかとれない上質な肉を大胆にトッピングした150元(≒1900円)前後の限定メニューが提供されており、高級感の演出に一役買っている。
サイドメ ニューも充分に提供されており、その種類はやはり麺類よりも多い。またドリンクやデザートメニューが全メニュー数の三分の一程度を占めている点も特徴的 だ。
味も魅力的だが提供速度が非常に早く、オペレーションの3S原則(Simple 簡素、Speedy 迅速、standardization 標準化)が実現できていることを体感できる。
また、おつりを専用の袋に入れ来店客に渡すなど、高級感とファッション性、そしてホスピタリティを徹底している事に好感を覚えた。
二店を訪れて
どちらも麺店といえども単品勝負ではなく、サイドメニューやデザート類を豊富に取り揃えている点が成功に繋がっている。
これは日本ほど個食化が進んでいな いことや、元々中国では数種類のメニューをみんなで取り分けて食べる文化が深く根付いていることに適応したものであろう。
実際店内を見渡すと1名での来店 客はほとんどおらず、グループで来店しサイドメニューを取り分けている様子が多く見られた。
また、どちらの店舗も一定水準以上の接客サービスが行 われていた。
基本的にどの店員も同様のオペレーションが出来ているように見えることから、しっかりとしたマニュアル整備や教育訓練が行われていることがう かがえる。
これは、既に中国で高水準の接客サービスが不可欠になっていることを改めて示すものである。
日本的なホスピタリティを武器とする店舗は、今後の 大都市を中心として大きなチャンスを掴んでいくであろう。
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