中国ビジネス "人事・労務"の一問一答Q&A
新・安全生産法では従業員へのメンタルヘルスケアが義務付けられたと聞きました。どのような対策を行えば良いのでしょうか?
中国では2021年に安全生産法が改正され、従業員に対して身体的な安全対策に加え、メンタルヘルスケアを行うよう明記されました。
2024年10月現在、メンタルヘルスケアを怠ったことにより処罰が下された事例は公開されていませんが、この安全生産法の処罰規定は厳格であり、各種対策を講じないことにより事故が発生した場合、最大で前年売上と同額の罰金が科されます。
しかしながら、現行の安全生産法では、メンタルヘルスケア関連でどのような対策を講じるべきか明記されていません。そのため、具体的に何を行うべきか、弊社へのご相談もここ数年で増加しています。
弊社としてはラインケア研修の実施をお勧めしています。
http://www.ac-a-jp.com/services/training18/また、セルフチェックの実施も効果的と考えられます。
弊社ではゲームを行うことでメンタル状況を把握できるBBAというサービスをお勧めしています。
http://www.ac-a-jp.com/consulting/bba/いずれも詳細については、一度お問い合わせください。
中国でインターネット広告管理弁法が施行され、広告に関する規制が厳しくなったと聞きました。どのような点に注意すべきでしょうか。
中国では2023年5月にインターネット広告管理弁法が施行されました。
主なポイントは以下の2つです。
まず、医療や医療機器などの広告に対して規制が厳しくなりました。第7条では次のように定められています。
「医療、医薬品、医療機器、農薬、動物薬、保健食品、特殊医学用調整食品の広告など法律、行政法規の規定により審査を受けなければならない広告を発行する場合、発行前に広告審査機関は広告内容を審査しなければならない。審査を受けていない場合、発行してはならない。」
2つ目のポイントは、ステルスマーケティングが明確に禁じられています。第9条では次のように定められています。
「インターネット広告は識別性を備え、消費者に広告であることを認識させられなければならない。」また、同条には「知識の紹介、体験の共有、消費の評価などの形式を通じて商品やサービスを販売するとともに、ショッピングリンクなどの購入方法を付加する場合、広告発行者は『広告』を目立つように明示しなければならない。」とも定められています。これは主にライブ広告などを規範化するものです。
中国で個人情報保護法が施行されたと聞きました。どのような点に注意すべきでしょうか。
ここ数年、中国では個人情報保護に関する法整備が進んでいます。
実務においては、顧客および自社従業員からの個人情報を取得する際には同意が必要です。また権限を与えられた者のみが個人情報のリストにアクセスできるようにすることが望ましいです。
個人情報保護に関する法律として、まず2017年には『サイバーセキュリティ法』が施行されました。本法の適用対象はIT企業だけでなく、メーカーや小売事業者までも含まれ、第44条では以下のように定められています。
「いかなる個人及び組織も、個人情報を窃取するか、その他の不法な方式により、これを取得してはならず、個人情報を不法に販売するか、他人に対し不法に提供してはならない。」
また、2021年には『個人情報保護法』が施行されました。違反した事業者には、情状が重い場合は違法所得の没収と5,000万元以下または前年度売上5%以下の罰金、営業許可の取り消しが課される可能性があり、非常に重い罰則が定められています。
なお、中国法人が収集した個人情報を、日本本社が管理する際にも注意が必要です。
詳細については、一度お問い合わせください。
中国では、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントについてどのように規定されているのでしょうか。
2021年に施行された『民法典』では、セクシャルハラスメント行為に関する法的定義が盛り込まれました。中国でのセクシャルハラスメントに対する関心の高まりが現れています。
セクシャルハラスメントは、女性に対するものは旧法でも禁止されていましたが、『民法典』では男女問わず禁止されています。また身体的行為以外にも言語、文字、画像などによるセクシャルハラスメントも禁止されました。更に、企業や学校などの組織が、セクシャルハラスメントを防止するための措置を講じる義務が定められているのが、大きな追加です。
一方、パワーハラスメントに関する法的定義は、2022年8月時点ではまだありません。ただし2021年に、とある市のトップが部下に対する暴言や暴力により告発され、解任される事件が起きました。この事件は国営メディアも強く批判をしたことから注目を集めました。パワーハラスメントに対する関心が高まっている事が伺えます。
弊社では、各種ハラスメントを予防するための研修なども実施しています。よろしければお問い合わせください。
働く人のうつ病とはどのような病気ですか
メンタルヘルス不調の一種で、最も典型的なものです。
ゆううつな気分が続く、意欲が出ない、考えがまとまらないなどの症状が、「二週間以上」続く状態場合が該当します。
症状は人により異なり、「仕事はできないが日常生活はできる人」から「自宅で寝たきりでベッドかから出られない人」もいます。画一的な状態で判断できるものではなく、人により異なるものです。そのため、専門医の判定が必要です。
コロナ禍でメンタルヘルス不調は増えていますか
信頼ある統計数値としては、現時点では相関関係は確認できていないようです。
ただし、弊社提携のメンタルクリニックによると、以下の傾向があるとのことです。
①メンタルヘルス不調を発症していた人は、テレワークで不調が和らいでいる
②新たなストレスやプレッシャーなどが追加された管理職者などで、メンタルヘルス不調の相談が増えている
②でも直ちにうつ病などの診断が行われているのではなく、現時点ではあくまで「未経験の事態により、不安感が高まっている」というものです。そのような傾向を把握できた組織は、その不安感に対応する取り組みを早期に行うことで、今後の深刻化を防ぐことができます。
アンガーマネジメント研修の所要時間と費用を教えて下さい。
研修前のWEBアンケートの結果によって、効果的な内容や回数、所要時間をご提案します。
1~2時間/回の場合、20万円から実施しています。
アンガーマネジメントのスキルにはどのようなものがありますか
有名なものに、「6秒間待つ」というものがあります。テレビでも多数紹介されているので、ご存じの方も多いと思います。ただし、単に怒ることを我慢し続けるのは、あまり得策ではありません。
そのため怒らなくて済むようにする知識と手法があります。知識には、「怒りの目的」「怒り発生のメカニズム」「怒りの影響」などがあります。
手法には、「怒りを記録する」「『今』に集中する」「認知の違いを認める」などがあります。
これら知識や手法、その学習方法については、日々研究されて進化しています。
アンガーマネジメントとはどのようなものですか
1970年代に米国で生まれた「不適切な怒りを予防し、制御する」ことを目的とした手法です。
オフィスにおけるアンガーマネジメントの場合は、怒りっぽい管理職に対して「怒りの予防、制御」することで、パワハラ発生予防を行います。また、怒れない管理職に「必要な時に怒る」ようにすることで、より良い人材育成ができるようにします。
中国事業の撤退時の注意点があれば教えてください。
特に注意が必要なのは、以下三つの相手です。
1)従業員
「経済補償金」を支払わなければなりません。基本的には、勤務年数1年間につき1ヶ月分給与の相当額を支払うことになります。法定の最低限で合意が得られない場合もあるので、事前に慎重な対応が必要です。
また、組合に相当する「工会」がある場合、合意も必要となります。
2)現地政府
現地商務部門の許認可に加え、工商、税務、税関、外貨、統計、財政、社会保険などさまざまな抹消手続きが必要です。現地政府にとって企業撤退は、税収入減となるため円滑に進まないこともあるので、慎重に十分な準備が必要です。
また、経済特区など進出時に優遇を受けた企業や、税務上コンプライアンス違反を隠している企業は、手続きが一層困難になるため、詳しい弁護士に相談してください。
3)事業パートナー
日本本社独資の場合はさほど問題になりませんが、中国側パートナーとの合弁会社の場合には、自らの出資分だけでも取り戻そうとすることもあるため、トラブルになることもあります。清算手続きには「董事会の全会一致」が不可欠なため、中国側パートナーの協力が得られない場合、手続きさえ開始できないということもあります。
また、法人清算後、中国側パートナーが会社の特許情報やクライアントの機密情報を持ち出し、競合会社に販売するという事案もあるので、注意が必要です。(2020年3月)
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